例文を参考に発表原稿を考えたいな。
この記事からわかること
- 初心者がビブリオバトルの原稿を準備する4ステップ
- チャンプ本を獲得した発表原稿
この記事では、初心者向けにビブリオバトルの発表原稿を準備する方法を解説します。
私(@okamotobiblio)は10年近くビブリオバトルに参加し、数10回のチャンプ本を獲得してきました。
実は、ビブリオバトルの発表方法には型があります。
その型は「1-3-1の法則」というもので、この型に従うことで、誰でも簡単に発表原稿を作ることができます。
この記事では「1-3-1の法則」と、それに従い、実際にチャンプ本を獲得した原稿を公開します。
また、高校生が発表することを想定した記事も書いているので、参考にしてください。
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参考【高校生向け】ビブリオバトルの原稿作成技術と例文を公開
目次
1-3-1の法則とは
ビブリオバトルでは5分でおススメの本を紹介します。
1-3-1とは5分の使い方を表しています。
ポイント
- 導入:1分
- 中盤:3分
- まとめ:1分
1-3-1の割合で紹介するとバランスが良く、聴きやすい発表となるのです。
この型に従うことで、初心者でもチャンプ本を獲得しやすい発表をすることできます。
また、紹介本の「おススメ理由」を一言で表現しておくことも重要です。
この「おススメ理由」を、「中盤」と「まとめ」パートで繰り返し観戦者に伝えます。
「おススメ理由」を最初に作ることで、原稿の構成の見通しを立てやすくなります。
チャンプ本を獲得した発表原稿をもとに解説
「工芸」というテーマのビブリオバトルで、私はチャンプ本を獲得しました。
原田マハの「リーチ先生」という小説です。
実際の原稿を題材に、「おススメ理由」と「1-3-1の法則」について解説します。
ステップ1:おススメ理由を考える
ビブリオバトルの原稿を作る前に、その本のおススメポイントを考えることが重要です。
おススメ理由は、5分の発表を通じて一貫している必要があります。
おススメ理由が5分の中でぶれてしまうと、発表が整理されていない印象を受けるためです。
おススメ理由の例は以下の通りです。
「おススメ理由」の例
- 最後に謎が明らかとなり爽快だから
- 知らなかったことを知ることができるから
- 友情の大切さを学ぶことができるから
私は「リーチ先生」のおススメ理由をモノづくりの情熱に共感できるから、としました。
私がメーカーで勤務しており、モノづくりのことをよく考えるからです。
発表者の属性とおススメ理由がリンクしていると、説得力のある発表になります。
もし、紹介する本を何にするか悩んでいるのであれば、以下の記事を参考にしてください。
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参考【ビブリオバトル】本選びの方法とおススメ本20選
ステップ2:「導入」をつくる
導入部分では発表本に興味を持ってもらうことが重要です。
また、本の概要や作者の情報も導入部分で説明します。
発表本に興味を持たせる2つの方法
紹介本に興味を持ってもらう導入部分には次の2つがあります。
- 質問を投げかける
- 個人の体験を語る
「導入」では2つのうち、どちらかの要素を原稿に加えましょう。
質問を投げかける
導入で最もよく使う方法が、観戦者に質問する方法です。
質問をすることで、観戦者が主体的に発表を聴いてくれます。
質問の例
- 今まで~したことがある方は手を挙げてください。
- ~と聞いて、何を思い浮かべますか?
- ~が実は・・・だということ、皆さん知っていましたか?
質問を投げかけた後は、観戦者に考えてもらうためにの時間を2,3秒つくることがコツです。
個人の体験を語る
個人の体験を語ることで、本と発表者の両方に興味を持ってもらうことができます。
発表者自身のキャラクターを語ることで、この人が紹介する本はどんな本だろう?と観戦者は気になるのです。
例えば、私はメーカーで働いていて、モノづくりで大事なことは何だろうかと、よく考えます。
そこで、「その答えのヒントを教えくれた本を紹介します」と伝えると、個人の体験を含んだ効果的な発表方法となります。
本の概要・作者の情報を伝える
ミステリーなのか青春小説なのか、あるいはノンフィクションなのかなど、本のジャンルについて導入部分で伝えておくことで、観戦者の理解が高まります。
著者が他にどんな本を書いているかなどの、著者紹介も導入部分で行います。
発表者が、発表本とどのように出会ったかを伝えることもあります。
「導入」部分の例文
実際の原稿を紹介します。
【質問を投げかける】
皆さん、今回のテーマ「工芸」という言葉にどのようなイメージを持っていますか?
陶芸やガラス細工、革製品などが工芸と呼ばれます。
工芸とは、職人の高度な技術によって作られた、美しくかつ実用性を兼ね備えているものを指します。
【個人の体験を語る】
私はメーカー社員として「工芸」にとても興味を持っています。
なぜなら、実用性と美しいデザインを兼ね備えているという工芸品の特徴は、私のようなメーカー社員が理想とする製品の特長でもあるからです。
【ジャンル紹介】
今日は、そんな工芸に対して情熱をもって取り組んだ人物を題材にした小説を紹介します。
「リーチ先生」という本です。
(本を見せる)
【概要紹介】
「リーチ先生」は原田マハ作の芸術小説です。
20世紀に活躍したイギリス出身の陶芸家、バーナード・リーチの半生を、その弟子である亀之助という架空の人物を主人公にして描いています。
リーチ先生が良い工芸品を作るために何を経験し、学んだのかが物語の軸です。
ちなみに、この小説の表紙に描かれている動物たちはリーチ先生が描いたものです。
(表紙を見せる)
【著者紹介】
作者の原田マハは、自身が美術館の学芸員として働いていた経験を持っており、多くのアート小説を書いています。
この「リーチ先生」も原田マハの得意とするアート分野を題材にしています。
以上で約1分20秒です。
導入としては少し長めですが、質問、個人の体験、本の概要という3点をすべて盛り込んでおり、観戦者を引き込む発表原稿となります。
ステップ3:「中盤」をつくる
3分程度の時間をかける中盤では、様々なプレゼン方法があります。
しかし、トリッキーな紹介方法はリスクが高く、初心者の方には適していません。
初心者の方には、3つのポイントを挙げて本を紹介する方法がおススメです。
観戦者が構成を理解しやすく、本の持つ面白さを伝えやすい強力な方法だからです。
約1分でそれぞれのポイントを解説するので、観戦者の集中力が維持しやすいこともメリットとなります。
3つのポイントを選ぶコツは、事前に決めた「おススメ理由」の根拠を選ぶことです。
ポイントを見つける例
- この本は面白いからおススメ→面白いポイントは3つあります
- この本は感動できるからおススメ→感動した理由は3つあります
- この本は最後までワクワクが止まらない構成でおススメ→ワクワクさせる3つの工夫があります
「中盤」部分の例文
実際の原稿を紹介します。
【おススメ理由】
私は3つの点でリーチ先生のモノづくりへの情熱を感じ、とても共感しました。
この3つの情熱を体感してほしいというのが、「リーチ先生」を読んでいただきたい理由です。
【ポイント1つ目】
1つ目は美しさに対する情熱です。
20世紀初め、実用的でありながら美しい要素を持つ「工芸」を評価しようという「アーツアンドクラフツ運動」が起こります。
職人の手仕事、そこから生まれる工芸品を貴ぶという考え方です。
リーチ先生もこの思想に感化されました。
そのとき出会ったのが日本の陶芸です。
海外の物陶芸より質素ではありますが、温かみを感じることができる日本の陶芸を、リーチ先生自身が作りたいという情熱が芽生えたのです。
【ポイント1つ目繰り返し】
私はメーカーで働いていますが、実用的なものを作ることが絶対条件です。
一方で、実用的であるだけでなく、美しいデザインを持った完成度の高い製品を作ることを目標としています。
リーチ先生が感化された美しい工芸を作りたいという考え方に、私はとても共感しました。
【ポイント2つ目】
リーチ先生が持つ2つ目の情熱は、学びと発信する事への情熱です。
リーチ先生はもともとイギリスで版画などの芸術活動をしていましたが、小泉八雲を通して日本に興味を持ち、1909年に日本にやってきます。
日本で主人公で弟子となる亀之助と陶芸に出会い、陶芸家となるのです。
1909年当時に遠い国へ一人で移住するのは並みの情熱ではできません。
日本で学びたいという強い意志があったのです。
また、リーチ先生は日本で陶芸の技術を身につけたのち、亀之助とともに、イギリスへ渡ります。
その目的は、陶芸で日本とイギリスの架け橋になることでした。
世界に工芸の美しさを発信する情熱を持っていたのです。
【ポイント2つ目繰り返し】
このモノづくりに対する学びと発信への情熱は、私自身もっと見習いたいと感じています。
【ポイント3つ目】
リーチ先生の3つ目の情熱は、陶芸を作る事への情熱です。
陶芸で最も重要な要素は「土」です。
土の性質が作品の風合いに影響を与えます。
イギリスに戻ったリーチは、自分が表現したい陶芸に合う土を探すために、イギリス中を駆け巡ります。
良い土を見つけることが、美しい作品を作ることにつながるためです。
また、「火」も陶芸の出来にを影響を与えます。
窯で炊く火の温度と時間によって、良い陶芸にも悪い陶芸にもなります。
リーチ先生は火が弱いときは庭の木を切ってでも火力を高めたり、時には大火事になりかねないほど、薪を追加するという描写が登場します。
これらの描写は火、あるいは土などの自然と、職人との命を懸けた対決のようでもありました。
【ポイント3つ目くりかえし】
良い作品をつくるために、素材と作り方にとことんこだわる。
モノを作る上で、素材と作り方が非常に重要であことを私自身実感しています。
素材と製法に妥協しない姿勢が、リーチ先生の偉大さであると思います。
以上で約3分10秒です。
物語の展開ではなく、私が共感したポイントを挙げた点が特徴的な原稿となっています。
ステップ4:「まとめ」をつくる
まとめでは、中盤で挙げた3つのポイントを要約し、おススメポイントをもう一度伝えます。
最後に、ぜひこの本を読んでくださいと伝えましょう。
ビブリオバトルのまとめ方に特化した記事も書いていますので、参考にしてください。
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参考【超一言】 ビブリオバトル最後のまとめ方を解説します
「まとめ」部分の例文
実際の原稿を紹介します。
「リーチ先生」は、情熱をもって陶芸に打ち込んだバーナード・リーチの半生を追体験できる小説です。
【3つのポイントまとめ】
工芸の美しさを感じることができるとともに、リーチ先生のモノづくりへの情熱を感じることができます。
メーカーで研究開発を行っている私としては、実用的で美しいものを作りたいという情熱にとても共感できました。
【おススメ理由】
陶器などの工芸品に興味がある方や、今回のテーマで工芸について興味を持った方、あるいは原田マハの芸術小説が好きな方におススメの一冊です。
【読んでほしいと伝える】
ぜひ読んでみてください。
以上で約30秒です。
導入・中盤で比較的時間を使ったので、まとめは簡潔にしました。
ビブリオバトルでチャンプ本を獲得する確率をもっと高めたいと考えている方は以下の記事が参考になります。
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参考【あなたは誰?・なぜその本?】ビブリオバトル2つのコツ