一般的に、読書は一人で行う行為です。
もちろんそれだけでも十分楽しいのですが、面白かった本を誰かと共有したいと思ったことはありませんか?
- 本の感想を共有したい。
- 本から学んだことをアウトプットして身につけたい。
- 今まで知らなかった本と出合いたい。
ビブリオバトルはそんな思いを実現するのにぴったりです。
この記事では、学生時代から10年近くビブリオバトルを開催してきた私が、ルールと面白さを解説します。
ビブリオバトルとは?
ビブリオバトルは読書会形式のコミュニケーションゲームです。
京都大学のゼミ内の活動からスタートし、現在では図書館、教育機関、カフェなど、全国各地に広がっています。
ビブリオバトルはゲームであり、明確なルールが存在します。
ルールを守ることで、楽しく遊ぶことができますので、そのルールを解説します。
ビブリオバトルの目標は「チャンプ本」を獲得すること
ビブリオバトルでは「チャンプ本」を獲得することが目標です。
「チャンプ本」とは、そのビブリオバトルに参加した人達の中で「最も読みたくなった本」に選ばれた本を指します。
チャンプ本は、参加者の投票によって選ばれます。
本の発表者は、自分の発表した本が、なぜおススメなのかをプレゼンします。
つまり、「紹介により最も読みたくなる本と思ってもらうこと」がビブリオバトルの勝利条件となるのです。
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参考【あなたは誰?・なぜその本?】ビブリオバトル2つのコツ
ビブリオバトルの4つのルール
ビブリオバトルには4つのルールがあります。
1 テーマに沿った本を持って集まる
2 5分間で本を紹介
3 2−3分でディスカッション
4 どの本が一番読みたくなったかを基準に投票し、チャンプ本を選ぶ
以上、4つです。
参加者は3つの役割に分かれます。
- 本の発表者
- 観戦者
- 司会者
必ずしも全員が発表する必要はありません。
観戦のみの参加でもOKです。
司会者は発表者では無い方がルール上は良いですが、発表者が兼任しても問題ありません。
ルール(1)テーマに沿った本を持って集まる
ビブリオバトルでは発表本に関して、テーマが設定されることが多いです。
「空」、「料理」、「秘密」など・・・
テーマに沿った本を選びましょう。
発表時に、テーマに対してなぜその本を選んだのかを説明するのがコツの一つです。
発表者は1ゲームで最大6人程度が良いと思います。
それよりも発表希望者が多い場合は、2ゲームに分けるなどの対応をしましょう。
ビブリオバトルの本の選び方と、ジャンルごとの紹介方法は、以下の記事が参考になります。
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参考【ビブリオバトル】本選びの方法とおススメ本20選
ルール(2) 5分間で本を紹介
発表者は5分で本を紹介します。
「5分」で話すことは厳守です。
5分10秒ぐらいまでは大目に見てもらえることが多いですが、それを終えると強制的に終了します。
4分30秒程度で話したいことが終了してしまった場合は、アドリブで5分まで話しきれるように頑張りましょう。
また、紹介する本は1ゲームにつき、1人1冊です。
小道具などの使用はOKですが、レジュメの配布は禁止です。
発表者の生の声でのプレゼンを重視しています。
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参考【例文あり】ビブリオバトルの発表原稿を準備するための4ステップ
ルール(3) 2−3分でディスカッション
それぞれの発表が終わった後、観戦者から発表者に質問をします。
質疑応答の時間は2-3分程度のことが多いです。
発表で分からなかったところや、本の良さを引き出す質問をしてみましょう。
揚げ足取りや、発表内容への批判は禁止されています。
質疑応答の時間は、ビブリオバトルがコミュニケーションゲームであるという点で、とても重要です。
- 発表者はどんな観点でこの本を面白いと思ったのか?
- 質問者はなぜこの質問をしたのか?
互いの価値観がよくわかる時間なので、発表だけでなく、ディスカッションも楽しみましょう。
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参考【ビブリオバトル】質疑応答でよくする質問例10選
4 一番読みたくなったか本に投票し、チャンプ本を選ぶ
全員の発表が終わってから、チャンプ本を決定するために投票を行います。
投票のルールは、3点です。
- 1人1票
- 読みたくなった本に投票する
- 発表者は自分が紹介した以外の本に投票する
挙手で投票することが多いですが、投票用紙に書名を書いて投票する場合もあります。
また、投票権があるのは、すべての発表を聞いた人だけです。
途中参加の方は投票権がありません。
「一番読みたくなった本」に投票する点がポイントです。
知り合いだからという理由での投票や、プレゼンのうまいかった「人」に投票するのではありません。
チャンプになるのは「本」です。
発表を聞いて、「この本読みたいな」と思えた本に投票してください。
読みたい本が複数あっても、投票は1冊に決めましょう
同票でチャンプ本が複数になった場合は、決選投票でチャンプ本を1冊に決めるときと、同票で複数の本をチャンプ本とする場合があります。
決選投票でも同票になった場合は、司会者が0.5票を投票し、チャンプ本を決定します。
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参考【2018-2020年】岡本ビブリオバトルで紹介された本
ビブリオバトルが面白い2つの理由
図書館、教育機関、カフェ、web会議上など、各地でビブリオバトルが開催されているのは、ビブリオバトルというゲームが非常に面白いからです。
ビブリオバトルの楽しさは何に由来するのでしょうか?
私はビブリオバトルの面白さは、2つあると考えています。
- 知らなかった本と出合うことができる
- 人との出会いが面白い
以上2点です。
知らなかった本と出会うことができる
好きな本のジャンル、好きな作家など、よく読む本はどうしても偏ります。
私の場合、自然科学系やビジネス系の本はよく読みますが、小説や社会科学系の本はあまり読みません。
ビブリオバトルに参加すると、自分が違うジャンルの本を知ることができます。
実際、私もビブリオバトルで紹介されて興味をもって購入した小説が多数あります。
人と出会いが面白い
ビブリオバトルでは、発表者がどんな観点で発表本を選んだのか、どんなことに興味がある人なのかなどを知ることができます。
発表者の個性がよくわかるのです。
また、投票でチャンプ本を選ぶ性質上、観戦者が何に興味があるのかなど、発表を聞いている人のことも想像する習慣が身に付きます。
これらはどちらも、人をより深く理解することにつながります。
私の場合、ビブリオバトルに参加することで友人が増えましたし、人に面白いと思ってもらえる、動いてもらえるプレゼンのスキルが向上しました。
Q&A
ここでは、ビブリオバトルや、私が開催している岡本ビブリオバトルへ寄せられる質問を取り上げました。
Q1. 参加者はどのような人が多いですか?
A1. 男女関わらず高校生・大学生から60歳代までの方が参加していますが、多いのは20~40歳の方です。
職業もサラリーマン、デザイナー、法律関係、公務員、学生など様々ですが、皆さん読書好きの方々です。
Q2.見るだけでも良いです?
A2.もちろん、観戦だけで問題ありません。
何回か参加するうちに、自分でも発表してみたいと挑戦される方がほとんどです。
Q3.チャンプ本を決める必要はないのではないですか?
チャンプ本を決めるのは
- ゲーム性をもたせるため
- 観戦者のことを考えた発表をしてもらうため
という2つの理由があります。
ビブリオバトルは「ゲーム」ですので、勝利条件としてチャンプ本の概念を設定しています。
また、ビブリオバトルではない読書会では、自分の興味のある内容を延々と話す紹介者がたまにいますが、投票によりチャンプ本を決定するというルールを設定することで、参加者にプラスになる発表を自然と心がけるようになります。