この記事からわかること
- 判断のスピードを高める方法
- シンプルルールの作り方
仕事は決断の連続です。
私(@okamotobiblio)は化学メーカーで研究開発職に就いています。
これ以上研究開発を続けるのか、顧客への提出資料はどのような表現方法であるべきか、若手を育てるための接し方など、多くの決断を毎日しています。
また、プライベートにおいても、旅行先で何をするか、時短のために家電を買うかなど、プライベートでも多くの意思決定の場面が訪れます。
この時、どのようなプロセスを経て決断をすれば、成功に近づくことができるのでしょうか。
その解決策の一つが、シンプルルールに基づき判断することです。
シンプルルールを作成したことで、判断に対する私の悩みは減り、生産性高く作業を行うことができるようになりました。
また、私は職場でチームリーダーを勤めていますが、チーム内でもシンプルルールを導入することで、生産性の向上につながりました。
この記事では、仕事、プライベートを問わず、判断の精度、スピードを高める手段である「シンプルルール」の作成方法について解説します。
私が実践している具体例も取り上げていますので、参考にしていただくことで、仕事や日々の生活に活かすことができます。
また、チーム内でのルール運用の詳しい方法については、以下の記事を参考にしてください。
目次
シンプルルールとは
シンプルルールはスタンフォード大学のキャサリン・アイゼンハートなどが提唱する、意思決定の方法です。
Facebook創業者のマーク・ザッカーバーグも、この方法に基づいて判断していると言われています。
以下の本に、詳しい内容が解説されています。
「シンプルルール」は、思考を単純化することで、判断の時間と労力を節約するための戦略です。
現代社会は複雑な現象が多く、意思決定のコストもその分高くなります。
それぞれの事象を詳細に分析して決断していると、判断力も落ちますし、疲弊もしてしまいます。
シンプルルールは、この問題の解決策となります。
5個程度のルールに基づいて判断することで、複雑な事象であってもスピーディーに決断することができるのです。
また、シンプルルールに基づくことで決断することで、成果も最大化できることが書籍では紹介されています。
シンプルルールの例
シンプルルールの有名な例が、医療現場で行われている「トリアージ」です。
トリアージとは、災害が起きたときなどに、優先的に治療する患者を決めるためのシンプルルールです。
心拍数や、意識の有無など、すぐに判断できる症状をもとに、優先的に治療を行う患者を決定します。
もちろん、優先順位の低い患者の様態が急変する可能性もあります。
しかし、効率的に、できる限り多くの患者を助けるという目的を達成するためには、トリアージは有効な「シンプルルール」です。
シンプルルールを仕事や生活に取り入れることによって、意思決定のコストを抑えつつ、効率的に成果を出す環境を整えることができるのです。
シンプルルールを導入するメリット
私は自分の担当している仕事と、チームでの仕事の進め方にシンプルルールを適用しました。
シンプルルールを適用したことで得られたメリットが、2つあります。
ポイント
- 迷う時間を削減できる
- 成功確率が高い方法をチームで共有できる
迷う時間を削減できる
ルールを決めたことで、判断に悩む時間を減らすことができました。
もちろん、研究開発職は深く考えることが重要な仕事です。
例えば、研究企画の立案などは、考える時間を十分とるべき業務です。
一方で、作成した研究企画が有効かどうかについては、シンプルルールに基づいて短時間に判断することができます。
例えば、「企画は誰の悩みを解決するか明確にする」というルールがあれば、それに適応した企画であったかどうか、実装するまでに判断することができます。
ルールを採用していなかった場合、本当に実行すべき企画なのか、多くの面から検証する必要があり、時間がかかります。
一方で、「企画は誰の悩みを解決するか明確にする」というシンプルルールに基づくいて判断することで、悩む時間を減らして、次のステップへと勧めることができるのです。
シンプルルールを導入することで、考えることが重要な業務であっても、効率的に成果物の質を高めることができます。
成功確率が高い方法をチームで共有できる
チームでシンプルルールを導入した場合、成功確率が高いノウハウを共有できるというメリットもあります。
シンプルルールを作る過程では、単純でかつ目標に対して効果の高い方法を模索することになります。
この際、チームで保有しているノウハウをメンバーが出し合うことで、より優れたシンプルルールを作成することができます。
すなわち、シンプルルールを作成する過程で、業務のカイゼンが進むのです。
実際、私の場合も、シンプルルールの作成のために自分の仕事の進め方の棚卸を行いました。
効率的な仕事を行うための手法をメンバーそれぞれが言語化し、チーム内で共有したのです。
この過程で、私が知らなかったノウハウも得ることができ、その内容を盛り込んだシンプルルールを作成することができました。
シンプルルールを作成することで、チーム全体の業務効率化を図ることができるます。
シンプルルールの作り方
書籍の「SIMPLE RULES」には、シンプルルールの4つの特徴が紹介されています。
メモ
- ルールの数が少ない
- 使う人に合わせてカスタマイズできる
- 具体的である
- 柔軟性がある
この特徴を満たすために、私が実践したシンプルルールの作成方法を紹介します。
ポイント
- 成果に影響を与える要素をピックアップする
- 選んだ要素を5つ程度にまとめる
- シンプルルールを適用し、修正する
成果に影響を与える要素をピックアップする
まずは、ルールの候補を挙げます。
ここでは、例として有機合成実験のシンプルルールを作成する事とします。
- 研究、実験の目的を明確化する
- 本合成を想定して実験検討を行う
- 実験のコストを計算する
- 安全性をチェックする
- 反応が進行する根拠を示す
- 各反応ごとに純度を高める
- 精製では何が除かれているか確認する
- 不純物を同定する
- スケジュールを立てる
- わかりやすい進捗資料をつくる
- 作業スペース、データの整理整頓を行う
12個を取り上げました。
コツは、作業フローを書いた後、成果に影響を与える要素を、思いつく限り書くことです。
合成実験の場合、
計画する→反応を仕込む→精製する→分析する
というのが一般的な作業フローです。
それぞれの作業に対し、「実験を成功させる」という目標に対して効果的なルールを作成します。
深く作業フローを熟知した人が制作にかかわる方が良いため、作業の熟練者に協力してもらうこともコツの1つです。
選んだ要素を5つ程度にまとめる
書き出したルール候補を、最大5つまでにまとめます。
究極的には、1つまで絞ることもあります。
5個よりも多くなると、判断の時に混乱する要因となってしまいます。
ルールは、最大5個とするのが実用的です。
まとめる
似た内容で、統合できるものは1つにまとめましょう。
以上の二つは内容が似ており、1つにまとめることができます。
具体的にする
具体性に欠けるものは、具体的な内容に変更します。
上記の「スケジュールを立てる」ことは重要ですが、この文言では抽象的です。
具体的なルールに変更します。
効果の高いルールから選んでいく
最も効果が高いと思われるものから、優先的にルールを選定します。
迷った場合は、感覚で選んでも問題ありません。
実際、シンプルルールは実装後に修正していきます。
まずは、仮決めすることにしましょう。
私は、以下の5つを合成実験のシンプルルールとしました。
- 本合成を想定した検討を行う
- 安全性、反応の根拠をチェックする
- 1週間のスケジュールを先週の金曜日に立てる
- 課題、現状、解決策、スケジュールを盛り込んだ進捗資料をつくる
- 作業作業スペース、データの整理整頓を行う
シンプルルールを適用し、修正を行う
作成したシンプルルールを自分、可能であればチームで実装しましょう。
1週間、1か月など定期的に見直し、ルールの修正、入れ替えを行います。
重要なのは、ルールを増やさないことです。
実装すると、シンプルルールを適用できない現象が起きることもあります。
しかし、シンプルルールの目的は効率的に意思決定をし、悩む時間を減らすことです。
ルールを増やすと、判断に時間がかかってしまい、目的を達成できなくなります。
修正するのであれば、使用頻度が少なかったルール、あるいは効果が低いルールを修正、変更することで対応しましょう。
シンプルルールを作って人生を改善しよう
シンプルルールで研究開発の仕事をカイゼンする方法を紹介しました。
シンプルルールを作ることで、個人、チームで効率的に仕事をすることができるようになります。
また、この方法は仕事以外にも適用可能です。
私は、以下の5つを人生の判断基準としています。
- ゴール→現状→プロセスを明確にする
- 家族と健康を大切にする
- シンプルで面白い方が良い
- 課題、失敗を共有する
- 学びの数をKPIに
この記事を参考に、シンプルルールを作成し人生をカイゼンしていきましょう。