この記事からわかること
- 化学メーカー新入社員が活躍するための3つのスキル
私、岡本ビブリオバトルは化学メーカーに研究職として入社して5年目の社員です。
入社すぐは何を学べば会社で今後活躍できるようになるか、あまり理解しておらず、がむしゃらに頑張っていました。
今から思えば、非常に非効率だったと思います。
入社数年が経ち、チューターとして1年目社員の教育担当となりました。
自分の失敗経験をもとに、1年目の社員に学んでおいてほしい事を伝え、実践してもらっています。
私が教育した新入社員は、私より早く成長することができています。
この記事では、化学メーカー社員が1年目から活躍するためのスキル、考え方を3つ紹介します。
この3つを実践することで、メーカー技術系新入社員が最短で活躍できるようになります。
ポイント
- 結論から話す
- 「雲-雨-傘」思考
- フォロワーシップ
なお、この記事は以下の書籍を参考にしました。
目次
結論から話す
化学メーカーに研究開発職として入社すると、上司に実験や業務の結果報告をすることが多くあります。
その時に実践してほしいことが「結論から話すこと」です。
特に1年目社員の教育をしていて感じることですが、結論からではなく時系列で報告する人が多くいます。
なぜ結論から話すことが重要で、時系列の報告は良くないのでしょうか。
理由は2つあります。
- 時間の節約になるから
- より理解しやすいから
結論から話したほうが良い理由
結論から話したほうが説明が端的になります。
主張が直接的に伝わるためです。
また、結論から説明された方が、聴いている人は話の理解がしやすくなります。
時系列に起きた順番で話すと、話の終点が最後まで見えません。
新入社員ではなかなか想像がつかないですが、上司は多くのプロジェクトに関わり、時間がありません。
結論から話すことで、理解を促すとともに、上司の時間を奪わないことが重要です。
実験の報告をする場合
実験の結果を伝えることを例に伝え方を説明します。
悪い例
Aに対して試薬を添加し、反応が完了したので後処理しました。
精製後、分析しましたが、目的のBは生成していませんでした。
詳しく反応を調査した結果、Cが生成していることが分かりました。
この原因は反応条件にあると思います。
ですので、A→Bの反応条件を変えたいです。
良い例
A→Bという反応を行いまたが、目的物を得られなかったため、条件を変えたいと考えています。
反応の分析をしたところ、BではなくCが主に生成していました。
その原因は反応条件にありますので、条件を変えたいと思います。
良い例では、反応条件を変えたいことを先に伝えているので、後の情報の意味が理解しやすくなっています。
一方で悪い例では時系列に説明しているため、最後まで何を目的に報告しているのかが分かりません。
目的を考え、主張からスタートする報告をしましょう。
雲-雨-傘
化学メーカーの研究開発職として働くうえで、雲-雨-傘という考え方を身に着けることが有効です。
暗い雲が見えるので、雨が降ると考え、傘を持っていくという思考の枠組みを雲-雨-傘と表現しています。
雲、雨、傘は次の3点の比喩です。
- 雲:データ
- 雨:解釈
- 傘:アクション
データを取得し、データに基づき解釈し、アクションを決め、実行するというのが化学メーカー研究開発職の基本サイクルとなります。
化学メーカー新入社員は、特に資料作成で、この3つをそろえることを心がけましょう。
1年目社員は、この3つのどれかが欠けていたり、混同している資料を作成することがよくあります。
また、この考え方は、日報作成にも役立つ考え方です。
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参考【新人向け】研究開発職に守ってほしい日報の書き方
データだけの資料
新入社員が作成した資料で最もよく見かけるのは、データだけ載せてている資料です。
確かに実験結果はわかるのですが、ここから何を解釈したのか、その解釈から次はどんな行動をすればよいのかが書かれていません。
データだけでなく、データの解釈と、とるべきアクションを資料中に表現されていることが、読む人にとってわかりやすい資料です。
悪い例
実験Aの結果:〇
実験Bの結果:×
良い例
実験Aの結果:〇
実験Bの結果:×
実験A、Bの結果から、溶液中のpHが実験結果に影響を与えたと考えられる。
pHのモニタリングが再現性の向上に必要だ。
本人は自明と思っているのかもしれませんが、報告書などは実験背景を理解していない人が読むことも多いです。
「雲-雨-傘」がそろった資料を作成しましょう。
解釈とデータを混同しているケース
アクションの根拠が、データに基づくのか、本人がデータなしに解釈したものかがわからない資料を見ることがあります。
データがない例
水分の含有が反応に悪影響を与えた。
反応進行のためには脱水溶媒を用いる必要がある。
この様な場合、チューターは「この根拠はデータがある?あなたの仮説?」と聞くようにします。
もちろん仮説を立てることは重要ですが、データがあるかどうかは認識しておく必要があります。
上の例では、例えば「水の混入が原因の副生成物が生じている」というデータが存在していれば、「雲-雨-傘」が満たされたと言えます。
「雲-雨-傘」の抜け漏れを防ぐには、この3点を満たしているかチェックすることが重要です。
上司の立場の人は、「データ、解釈、アクション」がどれに対応しているか質問してあげてください。
フォロワーシップを発揮する
1年目社員はプロジェクトのリーダーとして主体的に仕事を進めることは、ほぼありません。
一方で、ただ上司から指示に従っていれば良いというわけでもありません。
リーダーの考えを実現するために、リーダーの補佐的な仕事を主体的にすることが良い部下です。
この様に、リーダーの補佐を主体的に行うことをフォロワーシップと言います。
メーカー1年目社員は、フォロワーシップを身に着けることが重要です。
フォロワーシップに取り組むことで、リーダーにとって良い部下になるだけでなく、仕事の全体感を把握できるようになります。
仕事の全体感を把握できるようになる
リーダーの掲げた目標達成のために補佐をすることで、仕事の全体感、流れを学ぶことができます。
1年目社員は、目の前のことで頭がいっぱいになりがちです。
しかし、長期的な視点に立った場合、今の仕事が全工程を見たときのどこに位置するか理解できていれば成長が早くなります。
前工程や後工程のことを理解した仕事ができるようになるからです。
リーダーは多くの工程に関わっているため、リーダーのフォローをすることで、自分が担当する工程以外の仕事にも目を配ることができるようになります。
自分の仕事だけでなく、リーダーが求めていそうなことを先回りして、
「~すると良いと思うのですが、いかがでしょうか?」など提案してみましょう。
私の場合、上司と顧客のもとへ訪問する際にフォロワーシップを発揮しました。
上司は忙しいので、顧客の得意技術や関連情報を押さえておくのが時間的に難しいのです。
そこで私は事前に訪問先の企業の技術をまとめた資料を作成し、移動時間に上司にプレゼンしました。
事前に情報を調査しておいたおかげで、互いの企業の強みを生かした提案ができ、営業的に良い訪問となりました。
資料を作成しなければ「訪問」という工程で終わっていたことが、資料を作成したことで、「情報取得」、「提案営業」という前後工程を経験することができたのです。
1年目社員はリーダーにとってプラスになることを考えて、行動してみてください。
化学メーカー1年目は考え方とマインドを学ぼう
化学メーカーの新入社員が身に着けてほしい3つのポイントを、化学メーカーで教育担当をしている私、岡本ビブリオバトルが解説しました。
この3つのポイントは、ビジネス人生で普遍的に役立つスキルと考え方です。
3つのポイントを押さえて、1年目から大活躍する化学メーカー社員になってください!
ポイント
- 結論から話す
- 雲-雨-傘思考
- フォロワーシップ