この記事からわかること
- 外部受験者が院試の合格するための勉強方法
- 過去問が解けないときの対処法
理工系の大学生の多くは大学院に進学します。
学部で通っていた大学の院にそのまま進学する人もいますが、他大学の院を受験する人もいるでしょう。
私(@okamotobiblio)も外部大学院を受験した一人です。
地方の私立大学から、旧帝大の大学院に合格し、進学しました。
外部受験は内部受験と比べ、試験勉強の面で不利になります。
しかし、準備を十分に行っていれば、合格できることも事実です。
この記事では、地方私立大学から旧帝大の化学系大学院に合格した私の経験をもとに、外部受験生のための勉強法を解説します。
この勉強法を実践することで、院試の合格に近づくことができます。
なお、外部進学をするかどうかを迷っているのであれば、メーカー研究職として働く私からの視点で書いた記事が参考になります。
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参考【企業視点】旧帝大院に外部進学するなら志望動機を考えよう
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目次
外部受験が不利になる理由
他大学の大学院の受験は、内部進学者に比べて不利です。
理由は2点あります。
ポイント
- 院試は内部の授業から作成される
- わからない問題を質問することが難しい
院試は内部の授業から作成される
院試は学部で行った授業、使用した教科書をもとに作成するのが基本です。
したがって、内部進学者は学部で使用したノートや教科書を見ながら院試の勉強を行います。
外部受験者は、その授業を受けていませんので、院試で不利になります。
私の場合、学部も大学院も化学系ですので、授業で扱った内容は似ているのですが、教えてもらっていない内容からの出題も実際にありました。
外部受験をするのであれば、授業で学んでいないことも自分で調べて勉強する必要があります。
勉強の負担という面で、外部受験者は不利となります。
わからない問題を解決することが難しい
過去問を解いた際、わからない問題があっても内部受験者であれば、周りの学生や先輩などに質問すれば、解き方を教えてもらう事ができます。
一方で、外部受験者は周りに同じ大学院を受ける人がいませんので、解けない問題があっても自分で解決する必要があります。
教科書から理解できれば良いのですが、何度読み返しても理解できない問題もありました。
解くことをあきらめてしまった問題もあります。
院試を受けた先輩や、同じ授業を受けた同期に質問できる内部進学者に比べて、外部受験者は不利になるのです。
外部大学院に合格するための3ステップ
外部の院試に合格するのは簡単ではありませんが、計画的に勉強すれば十分合格ラインに達することができます。
私が旧帝大の大学院に合格した際に行った準備を、3ステップで紹介します。
ポイント
- 受験する大学院を決定する
- 過去問を入手する
- 過去問を繰り返し勉強する
受験する大学院を決定する
まずは、どの大学のどの研究科に進学したいのかを決定します。
化学系という同じくくりであっても、理学、工学、農学、薬学など研究科ごとに院試の傾向が異なります。
すなわち、研究家ごとに対策も変わってきますので、早めに受験する大学院を決定することが重要です。
受験する大学院の決定方法については、以下の記事で解説しています。
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院試のスケジュール
院試準備は、学部3年生の夏からスタートするのがおススメです。
実際、私もそのころから活動していました。
院試は4年生の8月が中心であるため、1年前から準備することになります。
1年の準備期間を作るメリットは、研究室配属前に勉強時間を確保できることです。
研究室で研究するようになると、院試のための十分な勉強時間を確保できません。
合格できる学力を、4年生になる前に身に着けておくのがポイントです。
過去問を入手する
院試の過去問は、研究科のホームページで公開されている場合と、外部生向けの説明会に行くと配布されるパターンがあります。
私は両方のパターンを経験したことがあります。
また、英語の問題は著作権の観点からインターネット上では公開されていませんので、別途問い合わせる必要があります。
気になる研究科があるのであれば、まずはネットで検索し、過去問を入手できるか調べてみましょう。
過去問を繰り返し勉強する
院試対策で最も重要なことは、過去問を繰り返し勉強することです。
新たに教科書・参考書や問題集を買う必要はありません。
追加で参考書を購入して勉強する必要があるのではないかと、当時の私も不安でした。
しかし、結果的には買う必要はなかったと断言できます。
もちろん、化学系から生物系など、専攻を変更するのであれば、新たに教科書などを購入し勉強する必要があります。
しかし、私のように同専攻(化学系から化学系)に進学するのであれば、学部で使った教科書で十分でした。
重要なのは、過去問の内容を理解、暗記し、似た問題が出たら確実に解けるようにしておくことです。
同研究科であれば過去問には傾向があり、毎年過去問と似た問題が出題されます。
過去問を解けるようになっておくことが、合格への近道なのです。
5年程度の過去問はインターネット上から入手できます。
手に入る問題すべてを解けるようにしておくことが、最も大切です。
友人と過去問を解く
過去問を解いていると、理解できない問題に出会うこともあります。
また、自分の解答が間違えていたとしても、間違えていることに気づかないこともあります。
これらの解決方法として、私は同じく外部受験する友人2人と過去問勉強会を毎週1回行っていました。
学部3年生の10月ごろから12月ごろにかけて、全員が同じ問題を解き、互いに答え合わせをします。
この場でわからない問題を解決、あるいは間違いを指摘し合うことで、過去問の解答例の精度を高めていくのです。
この方法で勉強することで、私たち3人は全員希望の大学院に進学することができました。
自大学の先輩や先生に質問する
通っている大学の院生の先輩や、大学の先生に質問するのもアリです。
他大学の院試問題を先輩や先生に質問するのは、抵抗があるかもしれませんが、私は質問していました。
教授は忙しいので、質問するのであれば、どうしてもわからない問題に限りますが、院生は教えてくれる人が多いです。
教科書を読んでも、どうしてもわからない場合は研究室を訪ねてみましょう。
過去問を完ぺきにした後の勉強法
過去問を5年分解くだけでは、不安という方もいると思います。
手に入る過去問をすべて理解した後は、私は追加で他の大学の院試問題も解いていました。
出題傾向が変わってくるので、院試当日の問題の傾向が変わっても対応できるという面で役立ちました。
受験する院試の過去問を完ぺきにすることが最優先ですが、余裕があれば東大や京大院試などの、より難しい問題にチャレンジしてみましょう。
専門分野を極めるのアリ
先ほど、新たに教科書や参考書は買わなくて良いとお伝えしました。
実際、私も過去問を繰り返し解くことで合格できたと考えています。
一方で、実は1冊だけ購入した問題集があります。
それが、「演習で学ぶ有機反応機構」です。
有機化学の問題集で、院試から研究の先端分野までカバーしている良書で、「福山本」という名前でも知られています。
「院試に合格する」という目的に対してはオーバースペックですが、「有機化学の専門家になりたい」と考えていた私にとっては、非常に良い教材でした。
将来的に長く関わりたいと考えている学問分野があるのであれば、この機会に最先端につながる勉強をすることもおススメです。
「演習で学ぶ反応機構」の使い方については、以下の記事で解説していますので、興味があれば参考にしてください。
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参考【研究開発職が解説】「演習で学ぶ有機反応機構」の使い方
続きを見る
英語対策
院試では、英語の成績としてTOEFLやTOEICのスコアを提出します。
大学院にもよりますが、あまりにも低い点数を提出しなければ大丈夫です。
私は当時、TOEICスコアが600点でした。
褒められた点数ではないですが、合格にはこの程度の点数でも十分でした。
600点であれば、TOEIC用の単語帳と、公式問題集1冊を解けるようになれば十分到達できる点数です。
3年生の間に到達できていれば、再度受験する必要はないと思います。
ただし、就活や会社に入ってからもTOEICは求められますし、研究生活では英語の使用が必須です。
私自身、会社に入ってから勉強し直していますし、英語が必須であることには変わりません。
学部生の時間のあるうちに、TOEICやTOEFLのスコアアップを目指すのは価値が高いです。
研究室に入ってからの化学系の英語の勉強法については、以下のページも参考になります。
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参考有機化学論文を読む 覚えておきたい英語例文10個
過去問を軸に院試に合格しよう
外部受験者向けに、過去問を中心にした、院試対策の方法を解説しました。
外部受験は内部進学者に比べると不利にはなりますが、対策すれば十分に合格することができます。
大学院で充実した研究生活を送るために、希望の大学院に合格するための学力を早めに身に着けておきましょう。
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学部生のうちから研究開発職の方と交流するイベントもあり、勉強になると思いますよ。
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