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【製薬・化学】企業のプロセス化学研究まとめ

岡本さん
就活で志望している製薬企業の実際の研究内容を知りたい

 

この記事からわかること

  • 製薬企業、化学メーカーが行ったプロセス化学研究の概要

 

就活の際、企業研究として製薬企業や化学メーカーが実際にどんな研究をしているか調べたことはありませんか?

 

しかし、企業の研究はその性質上、詳細に検索することが難しいんですよね。

私も就活生のとき、志望している企業の実際の研究内容を調べましたが、詳細はよくわかりませんでした。

 

(@okamotobiblio)はメーカーで有機合成、特にプロセス研究に関わる仕事をしています。

 

プロセス化学は、工場で化合物を生産するために、実施可能な作業工程へと改良していくための化学です。

企業に就職すると、多くの人が関わる可能性のある分野なんです。

 

私はプロセス化学に関する情報を論文や特許から得ています。

この記事では、私が調べた企業のプロセス研究に関する論文と特許を紹介します。

 

この記事を読むことで、就活生など企業研究をする方が企業のプロセス化学研究の概要を知ることができます。

 

プロセス化学を学問的に勉強するなら、この教科書がおススメ。

 

 

 

 

製薬企業のプロセス化学研究

まず、武田、塩野義、大日本住友など製薬企業のプロセス化学研究についてまとめました。

 

各社、レベルの高い有機化学研究を行っていることがわかると思います。

 

もしあなたが、プロセス化学に興味があるのなら「アカリク」に登録することがおススメです。

製薬企業や化学メーカーなど、プロセス化学を実践している企業が集まっています。

参考【就活サイト】アカリクを院生におすすめする5つの理由 メーカー研究職が解説

 

武田薬品工業

武田薬品工業は日本を代表する製薬企業であることもあり、多くのプロセス研究が見つかります。

 

ここでは、不活性ガスの反応への影響を調べた研究、DMF-DMAを用いたアミノメチレン化、ドミノ反応を用いたプロセス研究という3つの研究を取り上げました。

 

不活性ガスの影響

武田が開発しているTAK-063のプロセス研究。

原料合成部分の実験テクニック的な内容ですが面白いデータです。

 

カップリング反応での反応容器の「空き体積」について。

 

体積が増えるほど反応が遅くなっています。

本合成では40kgスケール、Arを一定量流し続けることで反応速度を保っています。

flowに比べて風船は遅い 点に注目です。

 

 

DMF-DMAを用いたアミノメチレン化

DMF-DMAを用いたアミノメチレン化は複素環合成の足掛かりになりますが、kgスケールであっても効果的です。

 

武田が開発するTAK-063 のプロセス研究でもDMF-DMAが用いられています。

この例では、1工程でピリダジノンとピラゾール前駆体合成を達成しているのが美しいですね 。

 

 

ドミノ反応を利用したプロセス

反応の効率化はプロセスの重要な仕事。本論文ではドミノ環化反応を組み込んでいます。

(1)Rh触媒による不斉水素化

(2)カルボニルの還元

(3)脱水-Tf化

(4)分子内環化

 

化合物2を得る検討をしていたところ、偶然、化合物7を少量得たため条件最適化したようです。

反応不純物の構造決定が重要であることを学べる例ですね。

 

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第一三共

初期合成では副生成物として10%程度のtrans体が生じており、この抑制が課題のプロセスです。

 

カルボカチオン中間体を経ることが副生の原因と予想し、「逆に」この機構を利用して、隣接基を導入することで選択的にcis体を得ることに成功しています。

反応機構考察が威力を発揮した例として面白いですね 。

 

 

塩野義

原料合成部分の合成です。

 

メドケム合成では目的骨格を持つマルトールからスタートしていますが、プロセス検討後はβ-ケトエステルから4-ピロン誘導体合成を達成しています。

DMF-DMA系を用いたヘテロ環合成は以前も紹介しましたが、スケール関係なく効果的な反応ですね。

 

 

大日本住友製薬

分液をうまく使ったプロセスです。

 

アルキル化で副生成物2が生じますが、目的物3をメシル酸塩6にして水層へ。

有機層にいる副生成物5を除去しています。

 

さらにうまいのが、分液の溶媒をそのまま反応に使い、化合物7まで濃縮をしないところ。

スケールアップに伴い、濃縮も時間を取られる操作となります。

 

大量合成の参考になるプロセスです。

 

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味の素

味の素にはADCなどの製薬企業寄りの技術と、化学企業寄りの技術、両方を有しています。

今回はADCのプロセス研究と、フロー合成を取り入れたイオン液体合成のプロセス研究を取り上げました。

 

ADC技術 AJICAP

Fc領域のリシン選択的な化学修飾法であるAJICAPにより、1 gスケールでADC合成が達成されています。

 

スケールアップに伴い、反応における抗体の濃度を5-10mg/mLに高めている点がポイントです。

バイオでありながら化学で戦える分野としてADCのプロセスにも注目です。

 

味の素は製薬企業というわけではないですが、ADC技術を持っている点も興味深いですね。

 

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マイクロフローによるイオン液体の合成

マイクロフローをイオン液体合成へ適用した例です。

 

バッチ法では過剰な発熱により副反応が生じる系を、滞留時間10分というフロー合成ならではの反応制御で解決しています。

私自身はフロー素人ですが、速度論的データを取得した後、系の設計をする流れがよくわかりました。

 

それにしても味の素の技術の広さには驚きます。

 

 

エーザイ

キラル化合物の分離を取り上げました。

 

メドケム合成ではラセミ体をキラルカラムで分離しています。

プロセス検討では反応での立体制御も試みられていますが、ラセミから塩を組ませてた方がコストメリットがあったようです。

 

母液を回収、再びラセミ化させてリサイクルするのが面白いですね。

 

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ペプチドリーム

日本を代表するバイオベンチャーであるペプチドリーム。

 

その中心技術は、3点あります。

・フレキシザイムによる非天然アミノ酸を含むペプチド翻訳
・環状ペプチド合成
・これらを組み合わせたdisplay技術

 

特殊ペプチドライブラリを迅速に構築できることが最大の魅力ですね。

 

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田辺三菱製薬

5工程のメドケム合成を一気に短縮することを試みたプロセスです。

 

塩基性条件下では目的物でないキノキサリンが主生成物となります。

そこで酸性条件下でエナミンを形成、続けて環化させることで目的物を主生成物として得ています。

エナミンを経る場合、120 ℃での加熱は必要です。

 

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中外製薬

[4 + 2]環化付加を取り入れたプロセスです。

 

化合物3を得るグリコシル化はα:β = 6:4で進行します。

[4 + 2]環化付加では立体を維持。

ここでは精製せずに、BF3・Et2Oを添加することで目的物に収束します。

 

C-アリールグリコシド、スピロ環構築を[4 + 2]環化付加で達成している点が面白く、きれいですね。

 

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化学メーカーのプロセス化学研究

住友化学、日産化学、高砂香料などの化学企業のプロセス研究を取り上げました。

農薬や電子材料素材の合成が特徴的です。

 

住友化学

住友化学・農業部門の主力製品はメチオニンです。

 

メチオニンは鶏などの飼料添加剤として使われ、その市場は拡大し続けています。

住友化学の特許情報によると、酸化セリウム触媒を用いて1工程で得られます。

 

ろ液として得られる液体メチオニンも飼料として使える、効率的な反応プロセスです。

 

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日産化学

日産化学は農薬や電子材料を扱う化学企業です。

 

売り上げに対する研究開発費の割合が高い優良企業であることが知られています。

 

農薬中間体の合成プロセス

農薬中間体のプロセス研究を取り上げました。

 

薗頭カップリングを用いたアルキニルピリジン合成です。

ブロモピリジン化合物が工業的に高価という理由で、クロロピリジン化合物を原料として選択されています。

一般的にクロロ体への変更で反応活性は低くなりますが、高収率で目的物が得られています。

 

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AZADOLを用いた酸化

酸化反応は安全性などの観点から、工場生産レベルでは嫌われる反応の一つです。

 

本研究では安全性の確立を最大の目的に、2級アルコールを酸化できるAZADOL条件での酸化反応を行っています。

酸素による酸化、酢酸の引火点を超えない熱制御が参考になります。

 

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高砂香料

高砂香料は不斉触媒反応を得意とする香料メーカーです。

新規の香料候補化合物の合成と、触媒反応の開発を取り上げました。

 

新規テルペン合成

反応数的には全合成と言えるテルペン合成です。

 

その中でもC-C結合形成に着目して抜き出しました。

分子内アルドール反応、それに続くメチル化で、化合物4での異性体比は85:15です。

 

最終体は果汁感の高い匂いとのこと。

どんな製品に使われるのか、非常に気になりますね。

 

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Ru触媒を用いた不斉水素化

高砂香料の基幹技術の一つ不斉反応。

 

Ts-DENEBは高砂香料が開発した不斉水素移動型反応の触媒です。

本例はケトンですが、様々な応用が行われています。

窒素と酸素が架橋した構造が特徴的で、従来の触媒と比べても高活性。

 

少量の使用で目的物が得られます。

 

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ダイキン工業

ダイキンと言えばフッ素の化学ですが、今回はリチウムイオン電池の電解液である非対称炭酸エステルのプロセスです。

 

副生する水が副反応の原因。水酸化カルシウムの場合、反応後生成する塩化カルシウムが水和物となり高収率につながるようです。

ろ過後、蒸留で精製が済むのも良いですね。

 

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日本農薬

農薬中間体であるピラゾール誘導体の合成を取り上げました。

 

Friedel-Crafts、それに続くシアノ化で大量の環境負荷廃液を排出していたことが従来法の課題です。

そこでオレフィンと置換ハロゲンとのクロスカップリングを試みています。

農薬合成のプロセスでも、環境に配慮したプロセス構築が必要です。

 

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浜理薬品工業

浜理薬品工業はペプチドや非天然アミノ酸合成で有名な会社です。

 

「Hamari Ligand」により高純度な光学活性アミノ酸合成が可能となります。

ここでは非天然のD-アミノ酸合成を示しています。

 

Ni(II)に軸不斉を持つリガンド、グリシン、Schiff塩基が配位した化合物1はユニークな構造ですね。

 

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JNC

液晶化合物の合成を取り上げました。

無機塩を添加したアセタール化がポイントとなります。

 

トルエン溶媒や他の有機溶媒下では選択性が不十分だった反応です。

イオン液体条件では高選択的ですがコストに課題が残ります。

種々検討した結果、飽和CaCl2、1M塩酸条件で高選択性を達成しています。

反応初期はcis体と1:1ですが反応時間が長くなるとtrans体に収束するのがポイントです。

 

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カネカ

Packed-Bed Reactorを用いた脱アシル化のプロセス構築です。

 

三菱ケミカルの陰イオン交換樹脂、DIAION PA 306sをカラムに充填。

原料のメタノール溶液を通すことで脱アシル化されます。

分液やろ過などの操作をせず、濃縮だけで目的物を得られるのがプロセス的な利点です。

 

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各社様々な合成研究を行っているのが分かりますね。

 

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