化学系の学生にとって、化学メーカー研究開発職は就職先の第一候補になります。
化学メーカーの研究職として働いている私自身(@okamotobiblio)も、就活時は化学メーカーを中心にエントリーをしました。
その際、疑問だったのが、就職後どのようなキャリアを歩むことになるのかということ。
研究は好きだけど、年齢を重ねても研究をしているのかな?
転職の可能性もあるんだろうか?
働きださないと、リアルなキャリア像を描くことは難しいですよね。
この記事では、私の会社や研究室時代の友人などを参考に、化学メーカー入社後のキャリア例と、キャリアプランを考えるための思考法を解説します。
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目次
入社後のキャリアの例
私の勤めている会社での事例や、化学系企業で研究開発職として勤める友人から聞いたキャリア例を紹介します。
研究→マネジメント
王道のキャリア推移が、研究開発職として就職後、各部署のマネジメント職として昇格するというものです。
研究現場で経験を積んだのち、30代前半で係長クラス、30~40歳程度で課長クラスの役職に就くというのが一般的なのではないでしょうか。
昇格のためには研究開発での成果、活躍することがまずは必要ですが、マネジメントスキルがあるかどうかも重要です。
チームや部署のリーダーとして、メンバーの性質に合わせて仕事を割り振りつつ、部署としての成果を出す必要があります。
研究職は人とのコミュニケーションよりも、研究対象への興味の方が優っている人が多いです。
一方で、マネジメントは「気持ちよく人に動いてもらうこと」が仕事です。
チームを良い方向に向かわせるためのコミュニケーションスキルを持つ人、あるいは将来的に獲得できそうな人がマネジメント職に向いています。
プロジェクトやチームを率いて仕事の成果を出したい、良い研究開発環境を作りたいと考えている人にはおススメのキャリアです。
一方で、研究自体が好きで、研究職にこだわりがある人は、昇格を打診されても辞退することもあるようです。
また、マネジメント職に就ける人数は限られているため、望んだとしても必ずしもできるわけではない点はポイントです。
研究→製造
研究開発職として就職した後、製造系の部署に異動する人もいます。
製造現場を研究職も知ってほしいという理由で、入社後1年は必ず製造系の部署に配属されるという会社もあるようです。
「製造」はモノづくり企業の要の部分であり、まさに富を生み出している部署です。
その点で、やりがい、達成感を感じることができるというのがメリットです。
しかし、工場は地方都市や海外など、一般に都会から離れた不便な地域にあることが多いです。
そのため、特に若手社員からは不人気部署となっています。
逆に、製造現場での仕事を好きになることができれば、競争倍率が下がるという点で、望むキャリアを歩むことができる可能性が高いとも言えます。
研究開発は、アカデミアにも近い内容を扱いますが、製造は企業こそが強い領域です。
研究開発の考え方と、製造の考え方をともに経験しておくことは、キャリアにとってメリットが大きいと思います。
研究→研究
自分自身が手を動かすこと、研究開発自体が好きで、ずっと研究開発に関わっていたいと考える人に向いているキャリアです。
最近では、係長・課長と同等の待遇で、「エキスパート職」という専門性が高いキャリアトラックを選ぶことができるようになっている会社が多いです。
もちろん、その分、より高い専門性が必要とされますが、研究好きにとっては好ましい変化なのではないでしょうか。
私の会社の例ではありますが、新人や若手社員と話していると、このキャリアを望んでいる人が多いです。
現在の仕事の延長線上にあるので、働き方が想像しやすいというのもありますし、研究開発が行いたくて研究開発職に配属されている人がそもそも多いというのもあるでしょう。
研究→転職
社内の部署移動ではやりたいことができない、家族の関係で今の会社で働き続けられなくなったなどの理由で、転職する人も一定数います。
例えば私の会社では、
- 「素材ではなく、最終製品に関わりたいと考えるようになった」
- 「研究内容に興味を持てない」
という理由で転職した人が実際にいます。
あるいは、
- 「学生時代から付き合っているパートナーと遠距離恋愛していたが、結婚することになったので転職した」
という事例もよくあります。
入社数年の転職理由は、この様に、
- 自身の興味と会社の事業内容が合わない
- 結婚・出産を機に転職(退職)
- 地方ではなく都市部で働きたい
というものが代表的です
良くも悪くも、国内中堅以上の化学メーカーはあまり年収に差がありません。
キャリアアップというよりは
- 職種を変えたい
- 働く土地を変えたい
という理由で転職する人が多いのが実際です。
キャリアのための思考法
化学メーカーでキャリアを積んでいくためには、2つの考えが重要であると私は考えています。
ポイント
- 専門性を高める
- 経験値を増やす
「転職の思考法」という本では、「専門性」と「経験値」という2つを合わせて「技術資産」と表現されています。
この本は転職を中心とした本ですが、化学メーカーでのキャリアを考える際にもおススメです。
高い技術を持っている人は、社内でも転職市場でも、価値の高い人として評価されます。
価値の高い人は、面白い仕事、希望の仕事ができる確率が高まります。
化学メーカー研究職にとって、技術資産を高めることが、仕事を面白くするために重要なのです。
専門性を高める
研究職にとって、専門性を高めることは非常に重要です。
社内であれば、「~について知りたいなら、岡本さんに聴けば良いよ」など、専門的なポジションを得ることで良い仕事が回ってきやすくなります。
また、転職時も専門性は武器になります。
研究職は専門性を高めやすい職種ですので、積極的に自身の専門性を高める努力をしましょう。
専門性を高める最も良い方法は、現在の仕事の分野について詳しくなることです。
研究開発職であれば、日ごろから論文や特許を読んでいるのではないでしょうか。
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参考【研究開発職が実践】大量に読むための論文メモフォーマット
例えば、それらの文献をまとめて、若手社員向けに担当している分野の概略を作ったり、社内セミナーを開くのもアリです。
私自身、自分の専門分野の社内セミナーを開いたことで、社内でその分野と言えば私がトップというポジションを得ることに成功しました。
経験値を増やす
経験とは「職種に紐づかない技術」のことを指します。
例えば、リームリーダーの経験、新規テーマ立ち上げの経験、技術的課題を克服した経験などが挙げられます。
専門性は誰でも学べば身に着けることができるという特徴がありますが、経験は汎用化されにくく、かつ他の分野にも応用できるのが良い点です
例えば、ペプチド合成は専門的で限られた人しか理解できないかもしれませんが、学べば美に着けられるものです。
一方で、難しいプロジェクトを率いた経験は、その人個人しか経験できませんし、他の案件にも応用することも可能です。
「転職の思考法」では、20代のうちは専門性を高め、30代は経験値を高めることを推奨しています。
この考え方を化学メーカー研究職に当てはめてみましょう。
20代のうちに自身の担当する分野での専門性を獲得します。
その専門性を自身をタグ付けすることで、チームリーダーとしての仕事や、技術的に面白い案件をすることができるようになります。
30代には課題解決力や、リーダー経験などの経験値が高まっているため、より面白い仕事をすることができるようになるのです。
若手のうちからキャリアを考えよう。
化学メーカーのキャリアプランと、キャリアの思考法を解説しました。
若手のうちから専門性を高め、経験値をためることでより良い仕事を獲得する確率をあげることができます。
若手のうちは、研究→研究というキャリアを想像しがちですが、マネジメントや製造にも興味を持つことで、キャリアを広げることができます。
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参考【就活サイト】アカリクを院生におすすめする5つの理由 メーカー研究職が解説