この記事からわかること
- 研究開発におけるタスク管理
- 研究開発職が実践している3つのタスク管理方法
私、岡本は化学メーカーの研究開発職として多くの案件を抱えています。
実験、会議、部下指導、顧客対応など、個々の案件ごとに多くのタスクがあります。
タスク管理について学生時代から試行錯誤してきましたが、現在、自分にとってベストだと言える方法を見出しました。
この記事では、私が実践しているタスク管理の3つの方法を紹介します。
製造業の若手理系職の方や、大学の研究室の学生に向いている方法です。
この3つのタスク管理の方法を実践することで、研究開発などの仕事を安定して運営することができるようになります。
また、化学メーカー研究職の実際の1日スケジュールはこちらを参考にしてください。
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参考【化学メーカー研究職】1年目・5年目時の1日スケジュールを紹介
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目次
研究開発におけるタスク管理
研究開発には、研究開発の特徴に合ったタスク管理法があります。
そもそも研究開発では以下の二つの特徴がありあります。
- 解くべき課題の選定が重要
- 実験結果により、スケジュールが大きく変化する
解くべき課題の選定が重要
研究開発では解くべき課題を正しく選ぶことが重要です。
研究開発の仕事は、科学技術的知見を利用してより良い商品を生み出すことです。
より良い方法を模索することの問題点は、やろうと思えばいくらでも仕事を増やす事ができることだと思います。
例えば私の仕事の場合、最適な反応条件を見つけるための実験を行っています。
より良い方法を探そうとすると、何通りもの実験をすることが可能です。
しかし、そもそもその検討事項が真に解くべき課題とは限りません。
収率が80%以上であればコスト的には十分であり、それよりも他の工程を改善をした方が良いことも多々あります。
目標に対して、乗り越えないといけない「課題」を正しく見つけることが、研究開発職のタスク管理にとっては重要です。
実験結果により、スケジュールが大きく変化する
せっかく立てた計画も実行しないと意味がありません。
しかし研究開発の難しいところは、実験結果によって行うタスクが大きく変化する可能性があることです。
実際、私の場合も1週間先はある程度見通すことができますが、2週間先の自分の実験作業を予測することは非常に難しいです。
研究開発職では、頻繁に変わるスケジュールに対応するためのタスク管理法が必要となります。
以上の「解くべき課題の選定が重要」、「実験結果によりスケジュールが変化する」という研究開発職の2つの特徴を踏まえて、私が実践しているのが3つのタスク管理法です。
ポイント
- 課題管理表
- 1週間ガントチャート
- 1日のスケジュール表
この3つの方法を解説します。
課題管理表
1つ目のタスク管理ツールは課題管理表です。
課題管理表とは
研究テーマなどで解くべき課題を明確にするのが課題管理表です。
目標達成のための課題を書き出し、チェックします。
私はエクセルで作成しています。
課題はTODOとは異なります。
具体的なタスクになっているのがTODOですが、課題は作業ではありません。
目標達成のために達成すべき概念が課題です。
課題管理表の作り方
課題管理表には5つのことを書きます。
- ゴール
- 課題
- 現状
- 解決の方向性
- 期限
ゴール
案件や自分の抱えている仕事の目標を書きます。
私の場合、研究テーマの場合もありますし、若手の育成も行っていますので人材育成の目標もあります。
例
- 総収率50%以上で目的物を得る
- 新人が昇格できるように育成する
課題
担当している案件の課題を書きます。
ルーティンワークで解決できる案件であれば、課題は存在しません。
未知の取り組み、解決策がまだ見いだせていないことが課題となります。
まずは課題の候補をできるだけ多く書き出しましょう
現状の課題ではなくても、将来的に課題となりそうなことは書き出しておきます。
例
- 工程Aの収率が低い
- 新人の作業効率が低い
課題を書き出した後は、課題の選定を行います。
案件のゴールに対して、影響が大きいものを重要課題として残し、軽微なものついては削除します。
多すぎる課題は一人で消化することはできません。
A4、1枚におさまる量にとどめましょう。
解決の方向性
どうやって課題を解決しようとしているかを書きます。
複数の解決策があっても問題ありません。
例
- 工程Aの収率を80%以上とするため、触媒の検討を行う
- 新人の作業効率の改善のために、ノウハウを伝える
現状
現在の進捗状況を書きます。
最低週1回は更新し、最新の現状を把握できるようにしましょう。
私の場合は、毎週金曜日に1週間の「ふりかえり」を行った後、更新をしています。
期限
課題を達成するための期限を書きます。
期限を過ぎてしまった場合は、再設定します。
課題管理表の運用方法
月曜日にA4、1枚で印刷しておき、1週間の間に新たなや課題や現状を手書きで随時書き込んでいきます。
金曜日にふりかえり、解決した課題に関しては削除、新たな生まれた課題を書き足します。
自分だけでなく、プロジェクトにかかわる人に課題管理表を共有することで、メンバーが課題を共有することが重要です。
課題管理表は、解くべき課題の選定が重要である研究開発職に適したタスク管理法です。
今本当に得べき課題を、1週間単位で見直すことで、軌道修正も行いやすくなります。
1週間ガントチャート
課題管理表により課題を明確化した後は、1週間のガントチャートを作成します。
1週間ガントチャートとは
ガントチャートとは、視覚的に作業計画を表現するためのタスク管理手法です。
製造業の工程管理でよく見る手法だと思います。
普通、ガントチャートはプロジェクトごとに作成しますが、私は個人のスケジュール管理として用いています。
また、実験結果によりスケジュールが変更になりやすいという研究開発の特色に応じるため、1か月程度ではなく、1週間単位のガントチャートを作成し、頻繁に修正を行っています。
ガントチャートの書き方
課題管理表を基に、1週間のうちに達成しないといけないタスクを1週間のガントチャートに落とし込みます。
実験名を左のボックスに書き、それにかかる日数を青色の矢印で表現します。
右側にのボックスには、矢印では表現するのが難しい、その週のTODOを書いておきます。
ポイントは予定と実践した内容を異なった色の矢印で表現することです。
私の場合、実際に作業を行った仕事は赤矢印で表現します。
何が計画通りになったのか、あるいは違ったのか、後から振り返ることができるようにすることが目的です。
バッファーを作ることも重要です。
私の場合、金曜日はデータ分析のみを計画し、実験が遅れた場合でも金曜日に追いつくことができるように設定しています。
ガントチャートの運用方法
月曜日にA4で印刷し、自分のデスクに貼り出しています。
印刷することで、すぐに参照、修正ができるというメリットがあります。
手書きで実験結果や修正点を書き加え、1日単位スケジュールに反映させます。
金曜日に「できたこと」、「てきなかったこと」のふりかえりを行い、来週の計画を立てます。
マネージャーなどデスク前を通った人に、私のスケジュールを共有できることも、印刷してデスクに掲示するメリットの1つです。
私の仕事量を把握してもらうことができるため、私が忙しい場合は仕事を引き取ってもらえるように調整できますし、逆に比較的空きがある場合は仕事を受け取ることもあります。
1日単位のスケジュール
1週間ガントチャートをもとに、1日単位スケジュールを作成します。
1日単位のスケジュールとは
その日のスケジュールとTODOを書いたのが1日単位スケジュールです。
1日のタスクをTODOだけでで管理している人も多いと思いますが、研究開発では時間の概念が含まれたスケジュールを作成する方が適しています。
実験は時間を移動させることが難しく、まとまった時間が必要な作業であるためです。
1日スケジュールの書き方
1週間ガントチャートを作成することで、1日に行うべきタスクは自ずと決まります。
今回はエクセルで作成していますが、手書きでも問題ありません。
まずは日付と時間を書きます。
その日に行う時間を変更することがむずかしい仕事を時間を表す矢印とともに書き出します。
矢印の長さが作業時間を表します。
私の場合、実験や会議が時間変更できない仕事です。
そのあと、簡単な実験やデスクワークを隙間時間に書き入れます。
スケジュールを消化できれば、線を書いて消していきます。
スケジュールは前日に作成します。
前日に作ることで、前もって実験準備をしておくことができるためです。
新たに入ったタスクはTODOに書き出し、プールしておきます。
優先度、必要な時間を見積もった後、スケジュールの空き時間に追加します。
まとめ
化学メーカーのチームリーダーである私が実践しているタスク管理方法を紹介しました。
最も重要視しているのは、シンプルな方法であるかどうかということです。
タスク管理は、継続して使用できるツール用いることが重要なためです。
データが蓄積することで、作業や課題解決の改善を行いやすくなります。
多くのタスク、プロジェクトを担当している方はぜひ実践してください。