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【研究開発職が紹介】教養として化学を学ぶためのおススメ本5冊

岡本さん
最近、化学に興味がある。教養として化学を学ぶために良い本はない?

 

この記事からわかること

  • 教養としての化学の勉強方法
  • 化学を学ぶためのおすすめ本5冊

 

社会人の学びなおしとして、教養を身に着けたいと考える人が増えています。

英語やプログラミングなどが人気ですが、「化学」を学ぶこともおススメです。

 

化学は産業の多くの技術的基盤になっており、化学を教養として学ぶことはビジネスや日々の生活に役立ちます。

 

この記事では、化学専攻で大学院を卒業し、化学メーカーの研究職として働く私(@okamotobiblio)が、教養として化学を学ぶ上でのポイントを解説します。

 

また、定期的に読書会を開催している経験を活かし、化学を学ぶためのおススメ書籍を5冊紹介します

化学を学んだ経験のない文系の方にも、親しみやすい本を選んだので参考にしてください。

 

 

社会人が教養として化学を学ぶ意義

岡本さん
化学を学ぶことのメリットを教えて!

 

教養として化学を学ぶ利点は大きく分けて2つあります。

 

ポイント

  • 化合物や、化学的知識が社会を支えていることがわかる
  • 環境問題を考えるために、欠かせない知識

 

化合物や、化学知識が社会を支えていることがわかる

岡本さん
そもそも化合物って何?

 

2種類以上の元素が結合して生成した物質を、化合物と言います。

現代社会では、多くの化合物が利用されています。

 

その代表例が、医薬品です。

医薬品は病気の治療のために、化学的な知識を利用して生み出された物質です。

化学を学ぶことで、新しい医薬品がどのようにして作られているのかを理解することができます。

 

また、有機ELなどの電子材料も、化学の力で作られた物質です。

さらには、料理をおいしく作るためにも、化学の知識が活用されています。

 

私たちの生活は多くの物質に支えられています。

そして、物質をより深く知りたいと、考えたとき化学の知識は大きな武器になります。

 

環境問題を考えるために欠かせない知識

岡本さん
環境問題の理解と、化学は関わっているの?

 

持続可能な社会を目指すために、化学の知識は不可欠です。

 

例えば、ガソリン車に代わる新たな自動車として水素自動車の開発が行われています。

しかし、水素はガソリンのように、簡単には運んだり貯えたりすることができません。

水素をどうやって蓄えるのか、どうやって水素ステーションに運ぶのかなどを考える際に、水素の化学的性質を知っていることは必要不可欠です。

 

また、レアメタルなどの希少な原料の利用についても、持続的な社会を実現するために解決せねばならない課題です。

パラジウムや白金などの希少な金属は、地球上で埋蔵量が決まっており、リサイクルして利用することが欠かせません。

 

これらの金属が、どのような用途に使われているかを知ることは、環境問題を考えるためにプラスになります。

レアメタルが含まれている製品であれば、できるだけリサイクルしたり、長く使える工夫をしたりなどの選択肢をとることができます。

そして、レアメタルの知識は、化学を学ぶことで深めることができます。

 

化学は多くの環境問題にかかわっており、私たちの行動を考える手助けにもなるのです。

 

化学を勉強するときのポイント

岡本さん
化学初心者が勉強するためのポイントを教えて!

 

化学を専門として働く私が考える、教養として化学を学ぶためのポイントは2つあります。

 

ポイント

  • 元素を知る
  • 構造を知る

 

元素を知る

元素の知識を高めることが、化学を知るための第一歩です。

 

化合物は、元素の組み合わせでできています。

元素とは、物質を構成する要素であり、物質に性質を与える要素でもあります。

 

炭素や、窒素、水素、鉄、パラジウム、白金などの元素を知ることが、色々な物質を化学的に考えるための道具となります。

まずは、元素を知ること、覚えることが教養としての化学の入り口となります。

 

構造を知る

構造式を知ることも、教養として化学を学ぶ際に重要なことの1つです。

 

化学の特徴は、構造式で化学物質を考えることができる点にあります。

構造式が物質の性質に影響を与えるため、構造式の理解が物性の性質理解につながるのです。

 

水、つまりH2Oの化学構造を以下に示しました。

 

酸素原子に、2つの水素原子が結合しています。

この構造が、水が物質を溶かす性質であったり、100℃で沸騰するなどの物質的性質、特徴を与えています。

 

医薬品も、構造式から薬の性質を操作しています。

研究者たちは適切な構造式を考えることで、より効果の高く、安全性の高い医薬品を作り出しています。

あるいは、化学メーカーの研究者であれば、より鮮やかで薄いディスプレイの素材をつくるために、構造式をデザインしています。

 

もちろん、これらの化合物デザインを理解するためには、より高度な知識が必要です。

しかし、教養レベルの化学の知識であっても、構造式の理解が、物質の理解につながることに違いはありません。

 

構造を学ぶことが、化学を学ぶ面白さになることを、私は確信しています。

 

おすすめ本5冊

岡本さん
化学を学ぶためのおススメ本を教えて!

 

化学メーカーに勤務し、かつ定期的に読書会を開催する私(@okamotobiblio)が、初心者でも楽しく化学を学ぶことができる本を5冊紹介します。

 

おススメ本

  • 宮沢賢治の元素図鑑
  • 世界史は化学でできている
  • 「食品の科学」が一冊でまるごとわかる
  • すごい分子
  • 新薬の狩人たち

 

宮沢賢治の元素図鑑

宮沢賢治の文章で、元素を解説するというユニークな一冊です。


「銀河鉄道の夜」などの作品で知られる児童書作家・詩人である「宮沢賢治」の作品には、実は多くの元素が登場します。

賢治が花巻農学校で働いていた1929年の29歳のころ、このような文章を残しています。

 

私は詩人としては自信がありませんけれとも、一個のサイエンティストと認めていただきたいと思います。

 

賢治は今の岩手大学農学部を卒業し、大学院で研究を行っています。

化学的な素養をもっていたのです。

 

そんな賢治が興味があったのが鉱物。

鉱物は多くの元素を含んでいるため、賢治作品にも多くの元素が登場します。

賢治の文章を題材に、元素の解説を行っている点が面白い1冊です。

 

例えば「コバルト」の解説では、悩みを抱えている描写を、青色を示す酸化コバルトの特性で表現しています。

 

元素について、気軽に学ぶのに丁度良い本です。

 

世界史は化学でできている

素材や医薬品などの化合物の視点から、世界史のできごとや、科学者の逸話を紹介しています。


 

ビジネス書を多く出している、ダイヤモンド社から出版されています。

ビジネスにも役立つ知識ですが、世界史などの歴史が好きな方に是非読んでいただきたい本です。

 

ガラス、セラミックス、金属、染料などの生活を豊かにする素材が、どのようにして人間が扱えるものになったかを解説している章が、私はお気に入りです。

 

歴史系の本であれば、これらの素材を化学的に解説しているものは数が限られています。

一方で、高校や大学で私が受けた化学の授業では、世界史的な視点で素材の重要性を説明されたことはありませんでした。

 

化学と世界史が組み合わさったことで生まれた面白さを楽しむことができる、素敵な一冊です。

 

「食品の科学」が一冊でまるごとわかる

化学・科学的な視点で食品や料理を解説した本です。


 

実は、料理は多くの化学反応や、学的特性を利用することで成り立っています。

 

例えば圧力なべ。

水は高圧下では100℃以上になっても、沸騰しません。

圧力なべは、この現象を利用しています。

 

つまり、鍋の内部が高圧になることで、100℃以上での調理が可能となります。

魚を骨や、お肉を柔らかくしたりなど、普通ではできない料理を作ることができるのです。

 

「科学」の視点から、食品素材や調理を学ぶことで、より美味しく料理をするコツや、食材の扱い方を学ぶことができます。

ビジュアルが豊富で、わかりやすいとともに、生活にも生かしやすいという点で、手軽に化学を学ぶにはおススメの一冊です。

 

すごい分子

電子材料などの素材の化学について、構造式を用いながら解説した本です。


 

著者であるサイエンスライターの佐藤さんは、化学的な内容を一般読者にわかりやすく説明することに定評があります。

 

電子材料では「亀の甲」ともいわれる、「ベンゼン」の構造を理解することが欠かせません。

 

構造式が登場すると、「難しい」と感じてしまうかもしれません。

しかし、佐藤さんのわかりやすい解説で、抵抗感が少なく読み通すことができると思います。

ベンゼン構造がなぜ電子材料に取り込まれているのか、深く理解することができれば、化学の世界がぐっと身近に感じることができるはずです。

 

社会を支える素材としての化学に興味がある方、構造式から化学を理解したい方には、ぜひ手に取っていただきたい一冊です。

 

新薬の狩人たち

医薬品の「探索研究」を題材にしたノンフィクションです。


 

医薬品候補となる化合物が実際に医薬品となり、世に出る確率は3万分の1と言われています。

「新薬の狩人たち」は、どのようにして1つの化合物が医薬品へと成長するのかを学ぶことができる1冊です。

 

本書で解説されている重要な概念が、「ライブラリ」を作ることです。

「ライブラリ」とは、薬を探し出すための「巨大図書館」という比喩で説明されています。

 

医薬品となる化合物を見つけ出すには、スクリーニングという方法がとられます。

スクリーニングとは、化合物が薬となるかどうか、実際にひとつずつ試してみること。

これは、「医薬品」という目的の本を探し出すために、巨大図書館の蔵書を1冊ずつ中身を確認していく作業に似ています。

 

現代では、コンピュータの力などを利用して、より効率的に探索できるようになりますが、実際に効くかどうかは実験してみないとわかりません。

さらに、ライブラリに含まれている化合物の中に医薬品候補があるかどうかも、そもそもわかりません。

結局、成功確率は、スクリーニングの回数 = ライブラリに含まれる化合物の数 = 図書館の本の数に依存するのです。

 

本書では、人類がいかにしてライブラリを増やしてきたかがわかりやすく解説されています。

医薬品の探索研究がどのように行われてきたかに興味がある方や、物語として化学を学んでみたい方におススメの一冊です。

 

化学を学ぼう

教養として、化学を学ぶためのポイントを、化学メーカー研究職として働く私が解説しました。

 

また、おススメの本を5冊取り上げました。

これら5冊の本は、どれも化学を学ぶ入り口としてぴったりの本です。

 

ぜひ化学を学び、仕事やより良い生活に生かしてください。

 

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